梅雨時期の到来で、温度と湿度が高くなると心配になるのが食中毒。
食中毒の原因となる細菌やウイルスが付着した飲食物やその包装容器などが原因で起きる急性の健康障害のことを「食中毒」といいます。
そもそも「食中毒」ってどういうこと??
食中毒を起こすと、腹痛、下痢、嘔吐、発熱、悪寒など体内から細菌や毒素を出し切るまでこれらの症状が続きます。
6月〜10月にかけて発生件数が多くなり、原因には高温多湿の季節は病原菌の増殖の条件がよいことがあげられます。
同じ食中毒でも9月〜10月には毒キノコによる食中毒、11月〜3月にはウイルスによる食中毒、冬季にはフグや生ガキなどによる食中毒が多発します。
「病原菌の増殖の3条件」
温度:増殖適温は、病原菌によって異なる。ただし、大部分は30℃〜40℃程度の温度帯がもっとも増殖しやすいといわれている。
湿度:水分を多く含む食品ほど、病原菌が増殖しやすくなる。
栄養素:たんぱく質(アミノ酸)や糖類、ビタミンなどが必要となる。
食中毒には4つの原因があります。
①細菌による食中毒
細菌性食中毒と呼ばれ、細菌が食品に混入して発生します。
細菌性食中毒:サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、腸管出血性大腸菌、ウエルシュ菌、セレウス菌など。
②自然毒による食中毒
動物または食物の有毒成分によって発生します。
動物性自然毒:フグ毒(テトロドトキシン)、貝毒(テトラミン)など。
植物性自然毒:毒キノコ(アマトキシン)、ジャガイモの芽(ソラニン)、トリカブト(アコニチン)など。
③ウイルスによる食中毒
人の体内で増殖することによって発生します。
原因となるウイルス:ノロウイルス、A型肝炎ウイルスなど。
④化学物質やカビによる食中毒
化学物質:ヒ素、シアン化合物、メチル水銀、農薬など。
カビ毒:マイコトキシン(ピーナッツ)など。
原因が判明した食中毒の90%以上が、細菌による食中毒とウイルスによる食中毒で、特に細菌による食中毒は、全体の80%を占めているそうです。
【細菌性】
サルモネラ菌(感染型)
原因食品:肉、鶏卵など(鶏卵は殻だけでなく、中身も汚染されていることもある)
特長:家畜、にわとり、ペットなどの腸内に存在する。熱に弱い。
症状:発熱、腹痛、下痢、嘔吐など。
潜伏期間:8〜48時間
予防方法:ネズミ、ゴキブリなどの害虫を駆除する。加熱で殺菌できる。
腸炎ビブリオ(感染型)
原因食品:生鮮魚介類
特徴:海水(塩分)を好み、塩分3〜5%で成長する。真水や加熱に対する抵抗力が弱い。
症状:激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐など。
潜伏期間:10〜18時間
予防方法:手洗い、まな板、包丁などの調理器具の清浄を徹底する。洗浄や加熱で殺菌できる。
カンピロバクター(感染型)
原因食品:肉料理(特に鶏肉)、牛レバー刺し、飲料水
特徴:鶏、豚、牛などの腸管に存在する。微好気性で、酸素濃度が5〜15%という条件で増殖する。常温の空気中では徐々に死滅する。熱や乾燥に弱い。潜伏期間が長い。少量の菌で発症する。
症状:腹痛、下痢、発熱、血便
潜伏期間:2〜7日
予防方法:十分な加熱で殺菌できる。井戸水は塩素消毒または煮沸殺菌をする。
黄色ブドウ球菌(食品内毒素型) 毒素:エンテロトキシン
原因食品:食品全般
特徴:人の鼻、のどの粘膜や傷口、あかぎれなどに広く存在する。切り傷やニキビなどを化膿させるため、化膿菌とも呼ばれている。
症状:激しい嘔吐、下痢、腹痛など
潜伏期間:1〜3時間
予防方法:手に傷口やあかぎれがあるときは、調理の際に使い捨て手袋などを使い、直接食材に触れないようにする。
ボツリヌス菌(食品内毒素型) 毒素:A型〜G型(特にA型、B型、E型、F型)
原因食品:嫌気性食品(瓶詰め、缶詰、真空パックなどの食品)
特徴:土壌や河川、海岸などに広く存在する。毒素が非常に強い。熱に弱い。
症状:視覚障害、言語障害、呼吸障害など。生死に関わる重症になることもある。
潜伏期間:12〜36時間
予防方法:十分に加熱する。
腸管出血性大腸菌(生体内毒素型) 毒素:ベロ毒素
原因食品:飲料水、肉類(保存や調理過程で、他の食材を汚染することがある)
特徴:赤痢の症状(激しい腹痛、下痢、血便など)と見分けがつかない。人から人に感染することもある。
症状:下痢、腹痛、風邪に症状から血便、激しい腹痛に変化する。
潜伏期間:1〜9日
予防方々:十分に加熱する(中まで熱を通す)。調理器具を乾燥させ、清潔にしておく。井戸水を含め、汚染の恐れがある水の使用には十分注意する。
ウエルシュ菌(生体内毒素型) 毒素:エンテロトキシン
原因食品:カレー、シチュー、スープ、グラタン(大量調理した料理)
特徴:人や動物の腸管、土壌に存在する。酸素を必要としない嫌気性芽胞菌。
症状:腹痛、下痢(嘔吐や発熱は少ない)
潜伏期間:8〜20時間
予防方法:調理後の食品は室温に放置しない。食事に出す前に十分加熱する。
セレウス菌(食品内毒素型:嘔吐型) 毒素:セレウリド
原因食品:チャーハン、ピラフ、オムライス、パスタ
特徴:土壌、水中、ほこりなどに芽胞の形で存在する。農作物など広く汚染する。日本で多発。
症状:嘔吐、腹痛
潜伏期間:1〜5時間
予防方法:調理後の食品は室温に放置しない(特に、残りご飯の使用に注意する)。再加熱は十分に行う(中まで熱が通るように加熱する)。
セレウス菌(生体内毒素型:下痢型) 毒素:エンテロトキシン
原因食品:肉製品、プリン、スープ、ソース
特徴:土壌、水中、ほこりなどに芽胞の形で存在する。農作物など広く汚染する。日本で多発。欧米で集団発生した例もある。
症状:腹痛、下痢
潜伏期間:8〜16時間
予防方法:調理後の食品は室温に放置しない(特に、残りご飯の使用に注意する)。再加熱は十分に行う(中まで熱が通るように加熱する)。
【ウイルス性】
ノロウイルス
原因食品:生ガキなどの貝類(十分に加熱していないもの)
特徴:人のみが感染するウイルス性中毒。冬場に多発する(特に12月〜1
月)。
症状:腹痛、下痢、発熱、嘔吐など
潜伏期間:24〜48時間
予防方法:十分に加熱する(中まで熱を通す)。目安は85℃以上で1分以上。
食中毒を予防するには基本の3原則があります。
①清潔「細菌を付けない」
②迅速「細菌を増やさない」
③加熱「細菌を殺す」
細菌を付けないための注意点
・手洗いをしっかりと行う。
・魚や野菜はしっかりと洗う。
・保存の際はしっかりと包む、または容器に入れてほかの食品への二次感染を防ぐ。
・台所や調理器具は常に清潔にしておく。
・調理器具や冷蔵庫内は、定期的に消毒する。
細菌を増やさないための注意点
・冷蔵庫で保存する。
・作った料理は、すみやかに食べる。
・残った料理は、室温の状態で長時間放置しないようにする。
細菌を殺すための注意点
・中心部までしっかり加熱する
・味噌汁やスープ類の再加熱は、沸騰するまで熱を通す。
これからの季節、冷蔵庫に入れてあるから大丈夫!ではなく、しっかり食中毒の種類と予防方法を知って、美味しく楽しい食生活にしていきましょう♪
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