旅をする理由は人それぞれ。忙しい日常に追われている人は現実逃避の手段だったり、ストレス解消の手段だったり、買い物をしたい、観光をしたい、と十人十色だけど、旅をすることによって気づく学びもあるんです。
私が旅で気づいた学び ~ カンボジア・アンコールワット
それは、2006年にカンボジアのアンコールワットへ行った時の出来事。
当時20代だった私は、友人と一緒に4月の暑い時期にアンコールワット行きのツアーへ参加しました。
ツアーではバンテアイ・スレイやタ・プローム、ベン・メリアを先に回り、最後にアンコールワットに行くというなかなかの強行スケジュール。暑い時期でもあったので観光後、アンコールワットに着いた時には体がへとへとでした。
へろへろの体でアンコールワットに到着し、さあ観光するぞ!という時になって登場したのがこの階段です。
見上げればとても高く、角度はほぼ垂直。足を乗せる場所は10cmほどしかなく、かなりスリリングな階段。ガイドさんに聞いたら毎年何人かは落ちて死んでいるというじゃないですか!
その時の私は観光でへとへと。お土産も買っていて荷物も多い。暑くて熱中症になりそう。正直、こんな疲れている状態でこんな大変そうな階段には登れないな、と思っていました。
無理だなあ、登れないなあ、と思っていた私にツアーの中の一人が声をかけてくれました。
「大丈夫、一緒に行こう?」
その一言で、いやいやわたしは階段を登ることになります。
最初はとても辛く、無理無理…落ちたら死ぬし、って思いながら登っていました。下を見ると
落ちそうです。すごく怖い!手すりもないんです。でも引き返せない。だって引き返すのも怖いし。
仕方なく一段ずつ階段を登ります。上を見すぎても先が長すぎて絶望する。下を見ると落ちそうで怖い。
引き返すこともできなくて、とりあえず今目の前にある一段だけ、登ろう。今目の前にある一段だけ、登ろう、と繰り返し、一歩進むことだけを考えて登っていたら、気づいたら私は頂上にいました。
頂上についた私は、光を見ました。今まで見たことのない光。
登る前は無理だと思ってた。すごく疲れてたし。下を見たら落ちそうで怖かった。引き返す事もできないし。だから仕方なく1歩進むことだけを考えていたら気づいたら頂上にいた。あんなに登れないって思ってたのに。って。
そうしたら、そのとき、気づいたんです。
『これは人生と一緒だ』
って。
それが分かったとき、わたしの頭の中のパズルがどんどん組み立てられていく感覚になり、ピースがかちっとはまりました。そうか。人生ってそうだよね。今気づいた。わかった。
私はとても大事なことをアンコールワットに教えてもらったんです。
旅行から学べること。そしてそれを帰ってきてから生かすこと。
旅は確かに楽しい。現実逃避にもなるし、夢の世界かもしれない。
だけど一番忘れちゃいけないのは、旅は「必ず帰ってくる」んです。行ったままでもないし、夢の世界でもないんです、絶対帰ってくる。
だから、帰ってきてから生かせる事を絶対持って帰るぞ! という想いで旅行に出ると、気づくことがたくさんあります。それは本当は実生活でも気づける事かもしれない。でも、人間は普段の繰り返しの生活の中から気づけることはとても少ないんですよね。
旅行という非日常によって得られる新しい外的刺激。その刺激によって普段使っていなかった脳の部分が活性化し、今まで見えていなかったものが見え、聞こえていなかったものが聞こえたりするんです。
新しい刺激を加えられる事によって、人間の脳はドーパミンを出します。快感や幸福感をつかさどるドーパミンを増やすには、新しい刺激が必要なのです。
旅行に行く事によって自分の中の何かに気付くことができる。学ぶことができる。
それができるかできないかだけでも、行った旅行が今後生活に生かせるかどうか、変わってきます。
次に行く時はぜひ、ただ「楽しむ」だけの旅ではなく、「学ぶ・気付く」旅にしてみよう!と意識してみてください。きっと今までの旅の2倍…いや、10倍は得るものがある旅ができると思います。
それでは、また。
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