「恩」とは、「嬉しかった」ことであり、「ありがたかった」こと。 それを同じようにすることが、つなぐことです。 プラスの連鎖が生み出す未来の方がきっと楽しい。今回は、私が20代前半のときに教えてもらい、今も心のベースになっていることをご紹介します。
via www.photo-ac.com
私が20代前半のときに教えてもらい、今も心のベースになっていることをご紹介します。
私は卒業旅行として、スペイン、イタリア、フランスを1ヶ月弱ほど旅しました。
お金が無い学生旅行ですから、宿と交通手段のみがセットされた激安ツアーです。
参加者はほぼ学生で、21日間も一緒に移動すると合宿のような雰囲気に。
昼間はおのおの一緒に参加した友人と自由に行動し、時折いくつかのグループが一緒にレストランで食事をしたり、夜は誰かの部屋に集まって交流を温めたりするような日々でした。
その中に、一人で参加されていた中年の男性がいました。 聞けば、奥様を亡くされ、一人で好きなことをして過ごしているということです。 奥様がしっかりお金を管理して残してくれたから、こんな風に遊べるんだよと少し寂しそうに笑っていたのを覚えています。
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ある日、その方から夜にホテルのバールで飲まないか?とみんなに声がかかりました。 確か、10人以上が集まったかと思います。 ひとしきり楽しい時間を過ごしたあと、支払いの段になったとき、その方がご馳走してくださるという話になりました。 「いえいえ。人数も多いですから、各自払いましょう」と言う私たちに対して、その方が教えてくださったことが今でも忘れられません。 僕はね、こうして若い人たちと話をするのが好きなんですよ。 もし、君たちが僕にしてもらったことを嬉しいと感じてくれるのならば。 僕と同じような立場になったとき、次の世代に同じようにしてあげてください。
恩は受けた人に返すものじゃない。つなぐものです。
その方が僕は、自分に何かを返してもらうより、何十倍も嬉しい。 妻が残してくれたお金だからね、有意義に使わせてください。
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「恩返し」という言葉があるように、何かをしてもらったら、お返しをと考えるのが人の常です。 「恩返し」をしておしまいではなく、自分の中に受けた恩を覚えておき、温め、次の機会がきたときにつなぐ。 そちらの方が長期戦ですから、たやすいことではないと思うと同時に、機会がなければ受け得なままではないかと、当時の私は考えたりもしました。 ただ、今、これを教えてくださった方の年齢に近づくにつれ、「得なまま」はないということを実感しています。
先輩に仕事を教えてもらったように自分が後輩に教える、海外旅行先で助けてくれた現地の人のように自分が困っている人に接する、お店で受けたステキなサービスを見習って誰かに何かをする、そんな機会はたくさんやってきました。 「恩」とは、「嬉しかった」ことであり、「ありがたかった」こと。 それを同じようにすることが、つなぐことです。 プラスの連鎖が生み出す未来の方がきっと楽しい。
みなさんも、恩をつないでみませんか?
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