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子育てコーチが「子ども自身の決断」の先にみたもの

「子どもの決断を見守る」ことは、親にとってはとても勇気のいることですね。いつまでも行く道を耕し、手を引いてあげたい。だけどいつかは、その手を離さなくてはならない時がくる…。今回は子育コーチング講師であるライター自身の、子どもとのコミュニケーションを通じた体験談をご紹介。なお、本記事は対「大人」にも応用することができますので、お子さんだけでなくご家族・職場の後輩など、身近なかたを思い浮かべてお読みいただければ幸いです。


発表会前日、突然のセリフ変更を告げられたわが子。親はどう接する?


先日、長女の小学校で発表会がありました。 その舞台上で短いセリフを言う場面があるのですが、長女は自分以外全員のセリフを覚えるほど大張り切り。

ところが、本番前日、長女だけが担任の先生からセリフの変更を伝えられて帰ってきました。 それはもう大慌てで、私も一緒に練習をしたのですが、緊張や焦りもあったのでしょう。 決して長いセリフではないのに全く覚えることができません。 不安そうな顔をする長女に、

「まだ大丈夫。明日の朝、学校に行く前にまた練習しよう」

と伝えてやっと寝かしつけました。

そして迎えた本番の朝。 起きてきた長女が、 「おなかいたいから学校休みたい」 と言い出しました。 本当に体調がすぐれないのであれば無理をさせるつもりはないけれど、前日のこともある… そう思った私は、登校前の時間でしたがゆっくり長女と話すことに。 すると


「本当は新しいせりふを覚えられないから学校行きたくないの」


と打ち明けてくれました。 この時点で、家を出るまであと10分。 ギリギリまで諦めないでやろうと一緒に練習したのですが、やはりセリフを暗唱することができず長女はとうとう大泣きしてしまいました…。


「決断の先に待っているもの」が何かを伝える


「これはもう、新しいセリフを覚えるのは物理的に無理だな」 と判断した私は、長女に2つの選択肢を提示することにしました。 ここで気をつけたのは、1つだけ。 「感情」ではなく「情報」を伝える、ということです。


・学校に行かない

→ほかの子があなたのせりふを言うことになり、その子は本番直前に覚えることになるね。でもおなかが痛いなら無理せず病院に行くべきだから、お休みの連絡するよ。


・学校に行く

→頑張ったけど覚えられないならしょうがないと思う。たとえば…カンペ持ってステージに上がっていいか、ママから先生に相談してみようか。


そしてしばし悩んだ長女は、 「学校行く!」 やや不安げな表情ではありましたが、自分で後者を選びました。 私は連絡ノートに事の顛末と、「可能ならカンペを持たせてやってくれませんか」という相談をしたためて、(内心ハラハラしながら)長女を送り出しました。


長女が「自分の決断」から得た体験


とはいえ、本番で長女が自信をもって臨めるか。笑顔で帰ってきてくれるのか…。 母親として、とても心配でした。

ところがいざ本番を迎えると、長女のセリフはしっかり覚えこんでいた前々日までのものに戻されていて、本人も堂々と全校児童・保護者の前で言うことができました。 また歌や楽器の演奏などでも、クラスメイト達とともに練習の成果を発揮。

発表会後に担任の先生にうかがったところ、 「ご相談を受け、本人とも話して今回はこのような判断をしました」 と。 保護者として、担任の先生の判断が大変有難かったと感謝を伝えました。

結果的に「学校に行く」と長女自身が決めたことで、本人の自信につながる経験になったと思います。 長女も帰宅後、「楽しかった!」と発表会のことを笑顔で話してくれました。


大人も子どもも、できるだけ「決めるのは自分」


自分の話が長くなりましたが… 子どもに「自分が選びとった結果どうなるのか」という体験をさせてあげることはとても重要なことだと身をもって実感しました。 大切なことなので繰り返しますが、ここで親のかかわり方として意識したのは、

“「選びとった結果の先に待っていると思われる事実」を、情報のひとつとして伝える”

ということ。 今回のケースで言えば、「学校に行かない」という選択の先に、「他の子が本番直前にセリフを覚える必要がある」という事実までは長女自身は予想できていなかったはずなのです。


時と場合によっては、行動を指示することも親としては必要ですよね。 (他の人に迷惑がかかる場合や、マナーを伝える時など) また、行動を選ばせるよりも、指示するほうが「ラク」なことが時としてあるのも事実。 いっぽうで、「行動を選ばせる」場面を意識的につくりその先の世界を体感させることでしか得られない感情や体験もあるのではないでしょうか。

今回は親子の例を挙げましたが、このコミュニケーションは対「大人」でも応用が可能です。 この記事があなたにとって、お子さんや大切な方とのコミュニケーションのご参考となりますように。

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