依乗先生に現代の子育て・親育てを学ぶ会(概要)
子育てについてのあれこれ悩み、社会人として他所の子供に対してはどう接していけば良いか?
今回はいつもお世話になっている、僧侶で心理カウンセラーの山口依乗先生に悩みを聞いていただきました。
依乗:子育てについての問題ですが、私がいる鎌倉までご相談にみられる親御さんもいらっしゃいます。ですが、私どもは相談に乗るということはないんですね。
悩みとか悲しみとか、苦しみとか辛いことはみんな誰もが等しく抱えています。
その悩みを解決するのかどうか、悩みが(問題が)収まったところでまた次が起きるのが人生だという考え方が仏教にはあります。
ですからなるべく悩みを避けないようにすること、そして徹底して悩むということも必要だということ、中途半端に決してしないということが大事です。
私は実子という意味では子供を育てたことはありません。
ですが、自分のいとこの子供や、事情があってDVの被害で逃げてきたお子さんを預かって一緒に生活をしたことは何度もあります。
40年近くのカウンセラーの生活の中で、最初に取り組んだことが発達障害のお子さんに対して音楽療法をはじめたことです。その頃は発達障害という言葉ではなく、学校の先生が自閉症と勝手に自己判断されることが多くありました。
子供の微妙な心理の発達状態にどう関わっていって、そしてその問題を正面から家族の立場で見るときと、ちょっと違う角度でみることが大事なのではと考えます。
大人の方でも、それから男性や女性でも、色々な人間関係の悩みというのが非常に多いですから、それを実際に見方を変えると解決の方法が開けていくのではないかと思います。
その問題の見方を変えるお手伝いを我々はするのであって、カウンセラーは、解決するのにこういうことがいいですよと提示する立場ではありません。
そういった意味で私自身、若いカウンセラーを指導しております。
私が子供の時分、どう育てられたかお話ししますと、うちはやはり浄土真宗の家なので、子供は仏さまからのお預かりものとして親たちは接してくれました。
ですから呼び捨てにされたことがなく、名前を呼ぶときは常に◯◯さんと敬語で呼ばれ、それは今でも変わりません。
尊い命として対等の立場で、たとえ子供であっても寄り添っていかなくてはならないと感じております。
(中略)
参加者C:うちは小学校1年生の男の子と、保育園年中、そして3歳の男の子がいます。最近の悩みは、子供同士の喧嘩が絶えずどうしても怒ってしまいます。怒る以外で良い説得の仕方はないでしょうか?
依乗:喧嘩は徹底的にやらせればいいと思いますが…笑
どうして止めさせたいと思われるのでしょう?うるさいから?怪我をしたらと心配だから?
参加者C:それもあります。
依乗:観察していて、どちらかがちゃんと手加減しているのではないかと思うのですが?
参加者C:長男と次男の仲が悪くて、長男が次男のことを本当に嫌っているようで、手加減なしのようにみえます。
それに長男のほうがある程度知恵があるので、それを働かせてつつき合いをしているのが気がかりです。
依乗:じっくりと、それぞれ一人にして話し合ったことはありますか?
参加者C:それはないです。
依乗:恐らく、順番としては弟さんから話すべきかと思いますが、お兄ちゃんのことをどう思っているかなど、確認をすることがまず大事ですね。
参加者C:弟はお兄ちゃんと遊びたい、お兄ちゃんのことが大好きなんですが、それをお兄ちゃんが拒むので、それで対立してしまうようです。
「叱る」という行為は一体誰のため??
参加者D:うちは兄弟仲はそれほど悪くはないのですが、兄の方は集中力がなく、何かをやらせたくてもそれに興味を持ってくれないと集中してくれません。
やりたくないことに対して、頑に拒否をするのでこちらとしても強く怒ってしまいます。
ただ、弟に対しては同じようなことをしてもあまり怒らないのですが、それというのは9歳児に言うのと、5歳児に言うのとでは全然違うことだからと考えるのですが…。
ですが、これが兄弟間で「なんで弟は怒られないのに…」というのがあるようで、賢い弟は「お兄ちゃん、毎回あんなに怒られてバカだな」というのが、口にこそ出しませんが、兄に対してなめてかかっているのが分かるんです。
だからか、私がお兄ちゃんに「宿題やりなさい!」と、きつく言うのを見ている弟は、真似をして「お兄ちゃん宿題やったの?」と、上からの物言いをするようになってしまったんです。
編集部:賢い子供って、子供間でイニシアティブを取るのが上手ですからね。お兄ちゃんは弟さんにそんなことを言われて、どう対応しているのですか?
参加者D:聞いていないというか、別に何も思っていないようです。元々空気が読めないというか、言われたことを受け止めきれないようで。
編集部:どうも弟さんの立ち回りが上手なようですね。
参加者D:そうなんです。ものすごく立ち回りがうまくて、ほとんど怒られないように生きている感じです。
依乗:どこの家でも次男というのはそういうところがありますよね。
参加者D:やっぱりお兄ちゃんだけ怒られて傷付いているんじゃないのかと思うと反省しきりで…。どう叱ればいいのでしょうか?
依乗:叱るってどういうことなのでしょう?相手のためですかね?
参加者D:相手のためというよりかは、それを早くやらなければいけないのに、できていないことを伝える為に叱っていると思います。どうしても感情的になってしまって…。
依乗:感情的というのがひとつのキーワードですね。